みやま市には中ノ島公園の大楠林(樹齢300年以上)をはじめ、神社などあちこちにクスノキが植えられており、2010年にはみやま市誕生3周年として、クスノキが「市の木」に決定した。常緑の雄大なシンボルツリーであるが、そのクスノキを使ったあるものづくりが、江戸時代からみやまで長く引き継がれてきたことをご存知だろうか。
それは「樟脳」と呼ばれるクスノキから抽出された結晶。防虫用品として古く親しまれてきたもので、医薬品や香料の原料にも使用され、昔は日本を支える大きな産業の一つだった。しかし石油化学製品の登場で衰退し、天然品の国内生産は瀬高町にある『内野樟脳』のみとなってしまった時期も。現在五代目として樟脳づくりに励む内野和代さんは、昔ながらの製法を守り続けている。九州産のクスノキのみを使用し、削り出したチップを高圧で蒸して、その水蒸気を冷却することで出来る結晶を脱水・脱油。手間の掛かる工程を経て、純度の高い天然の樟脳が完成する。「マニュアルに頼るのではなく、火の音、水の音に耳を傾け、色や香りなど五感を使って作ります」と内野さん。自然なものを自然に生み出すその手から受け取った樟脳からは、清らかな森の香りがした。
店名 | 内野樟脳 |
住所 | みやま市瀬高町長田1863-1 |
交通手段 | 九州自動車道 「みやま柳川IC」より車で約10分 |
TEL | 0944-62-2985 見学可(要連絡) |
ホームページ | http://www.uchino-camphor.jp |